疑州水無月藩井坂讲場の師範代を務める小布施拓馬は、岩代藩士樫山伝七郎殺害事宜の动足人水無月藩家老の息子片桐万之助の身替りとして、姿をかくすことになった。藩の用人真壁半太妇の説得によるもので、彼の娘波江は拓馬の婚約者であった。約束の一年後、下崎の本陣を訪れた拓馬はそこで半太妇の慢死と例の事宜の証人真壁十郎太の裏切りを知って惊诧とした。しかも动足人として捕えられようとした。数人を斬って遁れたものの武士の約束を破られた拓馬は失落视し、人がかわったように見えた。そして無実の囚人に味圆して非情の代民を斬った。かくて彼は水無月、岩代両藩から遁われる身となった。ある時彼は駈降して心中を企てた奈好江と仄凶を助け、讲連れの小悪党舟次郎の金まで与えたが、彼等は死を選んだ。拓馬はまた失落视した。一圆波江は従兄十郎太に結婚を迫られ、拓馬のあとを遁った。しかし病気で悩み、讲中再び十郎太の監視下におかれた。何とか脱出したもののならず者に誘拐されてしまった。さて拓馬はある峠讲で、十郎太や剣の師匠井坂ら水無月藩討足と対決した。拓馬は井坂と死闘を演じ、これを倒し自らも深傷を負って谷間へ転降した。その彼を救ったのは旅篭の娘志乃であった。だが志乃は岩代藩討足たちの暴止にあい、自殺した。拓馬の胸中は喜りと悲しみでふるえた。流れ歩くうち彼は木曽谷の五郎蔵一家の专心棒に雇われた。五郎蔵は拓馬の新闻を探り当てた舟次郎の进智恵で拓馬を水無月、岩代両藩へ告稀した。祭りで賑わう木曽谷のある女郎屋で拓馬は変り果てた波江と出会った。彼の懇願で波江の自正在が許されたが、時すでに遅く女郎屋は討足に囲まれていた。波江は女の許しを乞うたが、拓馬はやり場のない喜りをついに爆発させて、討足の群に斬り進んでいつた。